県産材でつくる木の家には
こんなメリットがあります。

同じ気候風土である強み

鳥取県は、県面積の74%が森林です。智頭・若桜町、日南・日野町、そして大山山麓が、鳥取県の代表的な林業地です。タニシの木の家の、主に梁・桁に使用されるのが、大山山麓で育った地松です、「挽くと煙が出るくらい硬いのが、大山山麓の松。油分が多く、粘りがあります。他の地域の松も挽きますが、そこまでは硬くない。県産材とひと言でいってもそれぞれ違いますね」とは製材所での会話。大山山麓特有の黒ボク土が成育に適していて、硬くて丈夫な地松になるのです。そして、硬い松は硬い分、強くて長持ちするといわれています。経年劣化をするといわれるコンクリートや集成材などに対して、天然木は年を重ねるごとに強度を増してくれる材料なのです。また、家を建てる土地と同じ気候風土で育った木は、その土地特有の菌への抵抗力があるため、腐食にも強いという特徴ももっています。タニシでは、地松は梁・桁に、檜は土台・柱に、杉は柱や小屋束などに、県産材を使用する木の家を推奨しています。

  • 県産材
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木の家は経年変化で強くなる

日本の住宅の寿命はいつの時代からか短くなり、現在、約30年といわれています。しかし、日本人は元来、100年保つ家をつくる技術と知識を持っています。たとえば、古民家は建てられてから100年以上経った今も、手さえ加えれば実に堂々と魅力的です。木材工学者でもあった千葉大学名誉教授の小原二郎氏は著書『木の文化をさぐる』(NHKブック/2003年)の中で、次のように記しています。───法隆寺古材は新材より強い。なぜなら木は、切り倒してから200~300年までの間は、圧縮強さや剛性がじわじわとまして、2~3割も上昇し、その時期を過ぎて後、緩やかに下降しはじめるが、その下がりカーブのところに法隆寺材が位置していて、新材よりもなお1割くらい強いからである。バイオリンは古くなると音が冴えるというが、これはこの材質の変化で説明できる。───つまり木材は、経年変化で強度が増すということ。それが、地元の気候風土に適した自然素材を使い、高い技術で建てる木の家を、私たちが推奨する理由です。

県産材

輸入材との違いはなに?

県産材

県産材と輸入材を比べるとき、一番に考えるのはコスト面のことではないでしょうか。輸入材に比べて県産材は価格が高いというイメージがありますが、そういうことはありません。まず、輸送費が必要ないことに加えて、県産材を使えば補助金が出るため、上手に活用されることを推奨しています。「県産材は輸入材と比較して、油分が多い。要は、粘りがあるため、乾燥が進むにつれて強度が増すということ。古くなればなるほど家に強度が出ると思うよ。こういう話は直接、お客さまにはできない。けれど知ってもらいたい」とは現場で聞こえる話です。製材する立場では「外国から来た木材は色が黒くなりますね。造作材でも年月が経てば色が変わってくる」のだそう。また、ほとんどの輸入材に施されている防腐剤や防カビ剤は、県産材には一切使用されていません。従って、シックハウス症候群やアレルギーの心配がないということ。さらに、リラックス効果の元となるフィトンチッドという物質が多く含まれているのも特徴です。フィトンチッドは、樹木などが発散する木の香りのことで、伐採して木材になっても持続する効果です。 消臭・抗菌・リラックス効果などの働きあり、癒しや安らぎを与えてくれ───それが、国産材・県産材の特徴です。

取材協力:樋口林業有限会社
(鳥取県 西伯郡伯耆町溝口120-1)